罰金刑とは?罰金刑は前科になるの?5年で消滅するってどういうこと?

罰金刑 前科

「罰金刑」

響きだけでゾッとしますが、そもそも罰金刑とはどんな刑なのでしょうか。

そして罰金刑に科せられた場合、それは前科になるのでしょうか。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

罰金刑とは?

まず、罰金刑とは何なのか、ということですが、「罰金刑」とは、「国家が自然人や法人に科す刑罰の一種であり、一定の金額の金銭を強制的に取り立てる財産刑」のことをいいます。

罰金刑と反則金の違い

似たようなもので、交通違反の際に課せられる「反則金」がありますが、これは罰金刑とは違います。

反則金とは、「道路交通法に違反した際に課せられる過料」のことです。

この反則金のことも罰金と呼んだりするので混同されやすいのですが、罰金刑は裁判で有罪判決となって言い渡されるもので、反則金とは性質が異なります。

罰則金は刑罰ですが、反則金は行政処分の一種で刑罰ではありません。

金銭を徴収されるという点では同じですが、罰則金と反則金は違うものです。

ただし、これはスピード違反や駐停車違反、信号無視、一時停止違反といった軽微な違反であった場合(青切符)に当てはまることで、飲酒運転や無免許運転などの重大な違反、赤切符を切られた場合などは刑事事件扱いとなり、起訴されれば罰金刑などの刑罰が科されることになります。

反則金は期日までに支払えば、刑事手続が免除され、前科もつきません。

罰金刑は前科になるの?

それに対し、罰金刑は有罪判決で言い渡される刑なので、前科がつきます。

略式起訴(※)で罰金刑を受けた場合も同じです。

 略式起訴・・・公判を行わず、裁判所に対し簡略的に書面で手続きを行うこと

勘違いしてしまう方もいるようなのですが、「お金を払うことで刑罰を免れた」のではなく、「罰金を支払うことで刑罰を受けた」のが 罰金刑で、有罪であることに変わりはありません。

前科がつくとどうなるの?

前科がつくと、検察庁が作成、管理している「前科調書」に記録され、この記録は一生残ります。

ただこれは検察官又は検察事務官だけが照会できるもので、一般人は見ることができません。

また、前科がつくと、本籍のある各市区町村の「犯罪人名簿」に一定期間記載されます。

刑法34条によると、罰金刑の場合は、刑の執行を終わり、罰金以上の刑に処せられないで5年以上経過すると刑の言い渡しの効力が消滅するので、5年が過ぎると犯罪人名簿から記載が削除されます。

なお、前科は戸籍や住民票、住民基本台帳などに記載されることはありませんし、日常生活を送る上で特に大きな問題は起こりにくいと考えられます。

罰金刑に執行猶予はつくの?

50万円以下の罰金刑の場合は、情状により執行猶予をつけることは可能といえば可能です。

しかし、毎年数十万人罰金刑を言い渡される人がいる中で、執行猶予がつけられた人は数人、という非常に稀なケースです。

あまり期待はできませんね。

罰金刑の就職への影響は?前科があると不利な職業

罰金刑を受けた場合、就職への影響はあるのでしょうか。

罰金刑の前科を履歴書に書く必要はあるの?

前科に関する情報は保護されており、民間の企業が調べることはできません。

しかし、だからと言って履歴書の賞罰欄に前科を記載しなかった場合、虚偽記載ということに
なります。

同様に、申告義務がある場合に前科を隠せば、経歴詐称ということになります。

後日何らかの形で発覚した場合、処罰や解雇ということも十分考えられます。

なお、5年経過して刑の言い渡しの効力が消滅した場合は、特に前科を記載する義務はない、とのことです。

ただ、この件に関しては色んな意見があり、そもそも履歴書に書く必要はない、という方や、賞罰の記入欄がない履歴書の場合は書く必要はないという方もいらっしゃいました。

私は法律の専門家ではないので、信頼できる弁護士さんに詳しく聞かれることをおすすめします。

罰金刑の前科があると不利な職業

公務員への就職に関しては、禁錮以上の刑であれば就職できないのですが、罰金刑はそれより軽い刑なので制限はないようです。

ただ警察、検察庁への就職は難しいのではないか、と言われています。

その他には医師や歯科医師、薬剤師などは、免許を与えないことがある、とのことです。

罰金刑で前科がつくと海外旅行に行けない!?

罰金刑で前科がつくと、海外旅行に行けなくなってしまうのでしょうか。

旅行好きの方であれば気になるポイントだと思います。

罰金刑でパスポートはどうなる?

旅券法第13条によると、禁錮以上の刑を受けるとパスポートの発給に制限がかかるようなのですが、罰金刑は禁錮刑より軽微なので当てはまりませんね。

パスポートを返納しなければならない、ということもないようです。

罰金刑で海外旅行は行けなくなる?

犯罪歴があると、国によっては渡航や永住が認められないこともあるようです。

これは前科の内容やその国の法律によって異なってきます。

罰金刑であれば、問題なく入国できる国が多いようですが、特にアメリカなどは厳しいようで、前科があると査証(ビザ)が必要になることがあります。

そのアメリカの中でも州によっても違うようで、ハワイなんかは異常に厳しいということで有名です。

日本を出国する時は問題が無かったのに、旅行先の国で入国を拒否された、なんて事もありますから、注意が必要です。

不安がある場合は、旅行先の国の大使館に事前に問い合わせるのが確実でしょう。

罰金刑の前科は5年で消滅するの?

罰金刑は、罰金を支払って5年間、罰金以上の刑に処せられなければ刑の言い渡しの効力が消滅する、というのは事実で、犯罪人名簿からも消されます。

しかし、「5年で消滅する」と言われるのは、「罰金刑の言い渡しによって失った資格および権利が回復する」、という意味で、刑の言い渡しを受けた事実そのものが消えるわけではありません。

前科調書には、罰金刑を科せられた当該人が死亡するまで記録が残りますし、罪を犯した、という事実そのものは消すことができません。

まとめ

「前科」という言葉には法律上の定義がないので色んな意味で使われることが多々あるのですが、結論としては、罰金刑はれっきとした刑罰で、前科がつきます。

罰金刑と反則金を混合してしまっている方が混乱しているように感じます。

もう一度確認しておきますが、交通違反で反則金を支払っただけでは前科にはなりません。

前科情報は本人ですら確認できないくらい保護されているので、周囲にバレることはないかと思いますが、出張の際にビザが取れなかったり海外旅行で入国できなかった時に疑われてしまう可能性は十分にあります。

罰金刑で済んだからと言って、軽い気持ちで受け流せることではない、ということですね。

参考 罰金 – Wikipedia

参考 前科 – Wikipedia

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
レクタングル(大)広告

フォローする